伊吹山の自然とと四方山話 コラム(1)種にまつわる話し

1. 一口コラム 種にまつわる話し
名前の由来 キヌタソウ(アカネ科 ヤエムグラ属)
●開花時期:7月中〜8月中 ●分布:山地のあちこちに広く分布
 キヌタソウは、漢字で【砧草】と書きます。また、本会が発行する植物ガイドブックにも載っている花です。
【砧(きぬた)】とは、ヤブマオやミヤマイラクサなどで昔、布を作っていた時に、その布をたたいて柔らかくするのに使った棒のことで、果実が似ていることから名づけられたといいます。実際の大きさは、わずか1ミリ位の小ささです。

ツノハシバミ(カバノキ科 ハシバミ属)
●実の時期:9月中旬 ●分布:山頂付近、2〜3合目
 ほぼ全国で見られます。伊吹山では、西と東コースで見ました。固くなると毛が指に刺さるらしいが、若い果実の毛は柔らかでした。ハシバミはギリシャ語のCorylusuコリルスで兜の意味です。ヘーゼルナッツの仲間で食べられ、花もおもしろいです。図鑑で調べてください。

ダイモンジソウ
(ユキノシタ科 ユキノシタ属)
●開花時期:9月中旬 ●分布=北尾根・静馬ガ原、笹又道、山頂付近
 花柱2本がつのに見えるのは、ユキノシタやジンジソウでも同様。伊吹山では、8合目駐車場の少し下のネットがはってあるガケと笹又道の横道に多いです。

▼花柱2本がつのに見える
2008.09.17 8合目駐車場下

2009.09.20 8合目駐車場下

ハナイカダ
(ミズキ科 ハナイカダ属)
 ぴったりの名前ですね。別名で「嫁の涙」というのがあります。果実を見るとそうかもと思います。
 雌雄別株 写真のは雄花でおしべ3個付いています。西コースに1本だけ目につきますが、これは雌株で8月に実がなっていました。
 葉の中心の太い線は、花の軸が葉の主脈とくっついている。果実は渋くてまずいらしい)


2009.09.20 西中腹路 



2. 閉鎖花「非散布型」=自分で自分を作る、まるでクローンのように・・・
▼スミレの仲間やホトケノザ・タツナミソウなどは、花を咲かせなくても、実を結ぶしくみを持っています。花のつぼみの中で、おしべとめしべがすでに、くっついているんです。
 また、ヤブマメやミゾソバは、土の中にも
【閉鎖花】を作るそうです。これは確実に子孫を残すことが出来ますが、遺伝子は親と全く一緒です。環境が悪い時の非常手段の要素が強いようです。今回のテーマの「種を移動させる」ことから考えると、これは「散布」でなく「非散布スタイル」と言えます。▼