Vol.18 2001/06/13
Writing & Photo by Fujimoto

新緑のブナ林とモリアオガエルを訪ねて
 6月の「山門水源の森」は、1年を通じて最もにぎやかというか、見応えがあるシーズンといえます。5月のシンポジウム終了後にわかにインターネットのHPのアタック数が増加し、10日の観察会は大変なことになるのではないかと心配していました。シンポジウム前日の観察会は250名を超えるという状態でしたから。幸い当日は理想的な参加者数となり、全員が一班編成で回ることが出来ました。
今回は参加者全員が健脚コースを歩きました。コース中植林地の林縁部には、ササユリが各所に咲き乱れ、清楚な香りが疲れを癒してくれました。5月に新緑を楽しんだブナは、すっかり深緑に変わり幹に耳を付けると、ブナの息づかいが聞き取れました。梢にはホトトギスが飛び交い「東京特許許可局・・・・・」とさえずりつづけていました。遠くからのオオルリのすんだ鳴き声を聞きつつブナの下で昼食を済ませました。梢の茂りで林床への日射量は減って来ています。そんな中でギンリョウソウがあちこちで花を咲かせており、薄暗い所では『ゆうれいそう」といわれる所以に合点がゆく。
 湿原では、まずモリアオガエルの卵塊の多さに全員びっくり、湿原全域では200個を超える数である。昨年の今頃は今年よりも雨が少なく、湿原南端部にはほとんど水域がなかったが、今年は何とか水がある状態を保っている。場所によっては左の写真のように枝が折れんばかりの数が着いている。この1つの卵塊中に、200〜300個の卵が含まれており、既にオタマジャクシに孵って水面に落下しているものも見られた。その下にはおびただしい数のイモリが待ち受けており、このイモリから逃れてカエルにまでなることが如何に難しいかを間近に観察して切なさを感じた参加者もいたほど。

 湿原内部では、トキソウのシーズンで例年以上に開花しているものが多く、群落と呼ぶにふさわしいような場所もある。加えて日本で一番小さなトンボであるハッチョウトンボ(羽を広げて2cmくらい)も多く羽化している。相変わらず湿原内でカモシカが一夜を過ごした跡やミツガシワの喰い跡が認められた。
この日は、終日NHKが取材に同行。観察会の様子や水源の森の貴重さ、加えて次の世代に引き継ぐ必要性について取材。放送は6月22日(金)午前6時30分からの近畿のニュースの時間帯の予定だそうです。関心のある方は見てください。もっともこれは、放送予定ですから実際にはどうなるかわかりません。
これまでも何回か湿原の植物を増殖して盗掘で無くなったものを補ってきましたが、今回は地元の大谷氏が長年ご苦労され増殖(もともと湿原にあったもの)されたサギソウを1000株も提供 頂き、湿原の南東端に皆で戻しました。

注:掲載写真の無断複写および使用することを固く禁じます。
写真提供は、当会員藤本秀弘氏のご厚意によるものです。