流水の有無で微妙に形作られる積雪の造形美
▲流水の有無で微妙に形作られる積雪の造形美

 「山門水源の森」の積雪期の昼間がこれほど静寂であったとは最近になって感じるようになった。1mを超える積雪にあえぎながら到着した湿原は全く音がしない。
積雪で被われた中央湿原とピー
▲積雪で被われた中央湿原とピー

 辛うじて自分の雪を踏みつける靴音だけの世界である。歩を止めれば、もう外界から閉ざされた防音室の感じ。ふわっと積もった新雪が吸音の役割を担っているのであろう。

 そんな音無の世界で新雪に被われた湿原の微地形を鑑賞するのは格別である。カメラのシャッターを連続的に切っている自分に気づくまでにしばらく時間がかかるほど静寂がその場を支配している。

白銀の世界にハンノキの雄花が映える→

白銀の世界にハンノキの雄花が映える
 この静寂を破るのは、気温の上昇で梢に凍り付いていた雪の塊が落下するときである。この落下には注意を払わないと大変なことになる。

梢の氷片

梢の氷片
 新雪は落ちてきても、冷たいという一言で終われるのだが。凍てついた日の落下は、氷片が落下するからである。

雪で埋まった「やまかど・森の楽舎」と湿地
▲雪で埋まった「やまかど・森の楽舎」と湿地
 1月下旬から2月初旬は暦通りの積雪となった。初めて冬を迎えた「やまかど・森の楽舎」は、2月はじめには文字通り雪国の施設となった。

積雪1mを超えると「楽舎」までが一仕事→

積雪1mを超えると「楽舎」までが一仕事
湿地も積雪で埋まる
 凍結を考え水道施設は全部止めた状態となった。雪に囲まれた研修室の中は、冷蔵庫に入ったという感じである。

←湿地も積雪で埋まる

 湿地を渡る観察橋も欄干までの積雪、池塘に見立てた部分も湧水が流れ込む部分を除いて完全に積雪と凍結とで、上部の湿原の風景を創り出している。

開水部も夜間は凍る→

開水部も夜間は凍る
開水部が拡大した湿地
▲開水部が拡大した湿地
 広さこそ異なるものの、湿原での雪の造形のミニチュアが観察できる。積雪期の観察会もなかなかおもしろそうである。立春を過ぎると自然はよくしたもので、積雪があっても融雪が早い。いわゆる「春の淡雪」である。
 あれだけ湿地を被っていた積雪も日に日に開水部の面積が広がってゆく。雪で遮光されていた池塘部分の藻類の緑が、一際鮮やかに輝いている。はたしてこの湿地にはどの植物が一番先に芽を出すのか本格的な春が待ち遠しい。

 もっとも4月に入っても降雪のあった年もあり本格的な春にはまだ時間が必要だ。しかし、湿地の周りのシロモジの花芽は、氷に被われつつも既に膨らみ出しているし、キブシの花序も赤味を増している。さあ春を待って本会の活動も本格化します。


山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会
事務局 藤本秀弘
hide-n-c@mui.biglobe.ne.jp