2011年8月6日〜7日伊吹山ネイチャーネットワーク自然観察会
夏休み連続2日間「夏のお花畑自然観察会」
レポート&撮影=筒井杏正
★2011(H23)年8月6日(日)〜7日(土)
★天候=曇り時々晴れ 気温=25〜26℃
★集合場所=関ヶ原ふれあいセンター ★所要時間=10:00〜16:00
★参加者=筒井、藤原、柳瀬、竹村、美濃、福田弥、早川、後藤、幸田、福田弥、今井、櫛田、中尾、岩元、早川、堤本 ★文・写真=筒井杏正

 今夏は、伊吹山ドライブウェイが7/20の土砂崩れにより、8/5まで通行止めとなった。このため恒例の山頂お花畑ボランティアガイド活動を取りやめ、8/6・7の連続研修会となった。

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 今回の研修会は、中井会員が作成した「誰でも簡単に覚えられる夏のお花畑北物」テキストを使用し、約30種類の植物における「名前の由来、花の特徴、同じ仲間、山菜・薬草・毒草、どこに咲いているか、など」について2日間連続で徹底研修をそれぞれに実施した。
 このテキストで、2日間連続の参加者は、それぞれの花の名前や具体的な特徴を十二分に知ることができ、かなり有意義な研修会が実施できたと満足することができた。
 ただ、指導者の中井氏が体調を壊したり、リーダーとなる会員が講師の都合で参加できなかったことは残念であった。
<異様な夏の植物の生育状況>
 お花畑の花の状況は、例年とまったく異なり、花の成長がかなり遅れているのか、あるいはその成長が途中で留まってしまったのか、開花状況は60%程度、なお草丈は各植物ともその1/2程度となっている。
 例えば、夏の象徴種シモツケソウは、例年なら満開でお花畑にピンク色の絨毯を敷きつめたようで、来山する人々に感動をもたらしてくれる。しかし、その草丈は膝丈程度で約半分、花は6分咲き程度であろうか。また、草丈約1〜2mのシシウドは、いつもならあちこちにその偉容を見せているのだが、数が少ない。

山全体は不作であるが、
西遊歩道の入口では、種々の花が出迎えてくれた。
▼西遊歩道の美し処をパチ

 その他、オオバギボウシ、シュロソウ、キヌタソウ、キリンソウ、キバナカワラマツバ、ヤマホタルブクロ、ミヤマコアザミなどは、シモツケソウのピンク色の絨毯の中でわんさか咲き目立っているが、開花数が少ない。例年通り賑やかに咲いていたのは、ルリトラノオ、メタカラコウ(草丈は低い)、コオニユリ(草丈は低い)、フウロウソウの仲間、キオン、オトギリソウ、キヌタソウなどであった。

▼西遊歩道の美し処をパチ
<お花畑の今夏と過去の比較>
<山頂(凹地)お花畑の変異>
 下左右の写真は、山頂凹地のお花畑の定点撮影で3年前と比較するとかなり違った様相である。
今年の山全体の植物の成長が一時止まったような異常な状況を見ると、わずか3年でこのように変わるとは思わないが、それにしても凄まじい変わりようで自然な植物遷移とは受けとれない。
 また、この花畑は3年前まである山小屋の主が、約20年余の歳月をかけ、繁殖力の旺盛なアカソやオオヨモギを除去していた経緯がある。しかし、その後「伊吹山再生協議会」と「伊吹山財産区」から身勝手な除草作業は規律に違反するとして中止する申し出があり、以来放置された状態になっている。
 確かに国定公園(第2種区域)でもあり、身勝手な行動は慎むべきである。再生のために尽力するとするなら、関連機関に堂々と提案し、意見を素直に聞き、許可を得て、一人でなく、皆で行うことが必要だ。
今年(08/06)の山頂(窪地)お花畑

撮影:伊吹山ネイチャーネットワーク(筒井)
2008/08/02の山頂(窪地)お花畑

撮影:伊吹山ネイチャーネットワーク(中井)

<東遊歩道(獅子舞岩)お花畑の変異>

 右・下左・下右の写真は、の夏のお花畑を定点撮影している。それぞれに2003年・2005年・2011年。お花畑のシモツケソウ群落と取り巻く植物の遷移を見ることができる。
明らかに分かることは、シモツケソウ群落が、テンニンソウとオオヨモギ群落の勢いに圧倒され、その面積を極端に狭めていく。

 この現象は、西遊歩道でも見られ、ここではテンニンソウとアカソ群落によってシモツケソウ群落は、わずかに残すのみとなっている。
今年(08/06)の東遊歩道(獅子舞岩)お花畑

撮影:伊吹山ネイチャーネットワーク(筒井)
2005/08/09の東遊歩道(獅子舞岩)お花畑

撮影:伊吹山ネイチャーネットワーク(舟山)
2003/08/03の東遊歩道(獅子舞岩)お花畑

綾木陽一氏(伊吹山もりびとの会)撮影
今年のお花畑の異変は?
 今年のお花畑について新聞では「成長が遅いためお盆過ぎまで楽しめるだろう」と掲載されていたが、8/14に別件で訪れた時には、すでにシモツケソウは花開かず、その他の植物も同様に終盤を迎えていた。
 このことを考えると、夏の植物は成長が遅れているのではなく、あきらかに生育過程において何らかの要因で阻害されたように思われる。その要因として、
1. 今冬は例年より積雪が多く、残雪も5月のGWまで残り山頂付近での低温が長引いた。
2. 6〜7月は雨天や曇天日が長引き、日照時間が短かった。
3. 伊吹山測候所の建屋が昨秋(2010/11)に完全撤去され、山頂環境が変異した。 など考えられるが、これらもこれほどの異変を招く大きな要因とは考えられない。
 そして、これは一時的な変異で来年になれば、また元通りになっていることを祈るばかりである。
今年 04/30
例年にしては多量の残雪(西遊歩道山頂付近)

撮影:伊吹山ネイチャーネットワーク(福田)
「2011の初秋を迎える」
初秋を彩るイブキトリカブトは、例年の場所で早稲が花を綻ばせ始めている。それにしてはいつもならシオガマギクやツリガネニンジンなどが目立ち始めるのだが、あまり見られない。このような状況を見ると、この秋、代表種として群生するサラシナショウマやイブキトリカブトがどのような様相を見せるか確認したい。

▲毎年一番早く咲くイブキトリカブト
東遊歩道8合目駐車場近くの西斜面

東遊歩道中腹で最も早く咲く→
イブキトリカブトは、例年マナーの悪い
カメラマンによる踏み込みが絶えない。
今年も開花したその日に踏み込まれてしまった。
本会が設置した注意札は効力を発揮するだろうか?
※注意札設置には、文化庁の許可を得て設置している。


<目立ったイノシシ穴掘り跡>
 イノシシやシカの食害は、例年あちこち見られるのだが、今夏、特に目立ったのは東コースの山頂から見晴台(最初の小丘)までの歩道両脇で多く見られた。また、丸太階段が新たに設けられたせいか、その幅員が幾分広がったように感じられ、この広がった歩道をメイン通りとして動物たちが行き交っているように思われた。「自然再生協議会」の3人の学識者は、東遊歩道は伊吹山本来のカルスト地形を残しているため保全すべきと、その整備は控えるべきだと提唱している。それはたとえ丸太階段設置においても反対であったが、どうしたものか、設置されてしまった。(※本会も一委員として設置反対の見解の文を事務局に提出したが)

 ※下の左右写真は、ともに東遊歩道の傍らの比較的新しいイノシシの穴掘り跡である。古い跡は無数にあるが、秋から冬にかけこの現象は確実に増していく。