伊吹山ネイチャーネットワーク
第3回 伊吹山のタンポポ分布調査報告書
2010年6月実施 (山頂部=西・中央・東歩道、山頂山小屋周辺)
2010(H22)年9月発行
![]() セイヨウタンポポ |
![]() イブキタンポポ(固有種) |
![]() セイタカタンポポ |
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| ■調査期日:平成22年6月6日(日) ■調査員:筒井、中井、池野、村井 ■調査法 ・網羅的調査 調査区画全域を目視による生育株の数量調査 ・種の同定と分別 在来種と外来種の2種のみとし、セイタカタンポポとイブキタンポポなど在来種の細かな分別はしていない。種の判別は、総苞外片が反り返っているのを外来種のセイヨウタンポポ、反り返っていないのを在来種とした。また、総苞外片が中途半端に反り返って交雑種と見られるものは、全て外来種とした。つまりこの方法は、2008年の調査と同様である。 ■調査範囲 山頂の遊歩道は、道幅中軸から左右2mの範囲をカウントした。山頂山小屋周辺は、7ブロックに分け、全面を網羅的にカウントした。これも前回と同様である。 |
■調査区域
山頂部(標高1.240m以上)、西・中央・東の遊歩道と山頂山小屋周辺とし、登山道は行っていない。 ・遊歩道=伊吹山ドライブウェイ8合目駐車場から西・中央・東の3コース(※山頂遊歩道概要図参照) ・山頂山小屋周辺=山頂トイレから南側斜面(伊吹山旧測候所)まで(※山頂山小屋周辺概要図参照)
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| 1.伊吹山タンポポ調査(山頂遊歩道) | |||
| <西遊歩道> (セイヨウタンポポ=786株、在来種=0株) 3コースの中で、最も多くの来山者が利用するコースである。石灰岩の砕石による整備がされている。セイヨウタンポポは、この砕石の間にも見られるが、来山者に踏まれるため、どの株も小さな個体である。数多くみられるのは、砕石歩道の両端、つまりお花畑植生との境の部分である。特に山側に多い。ここでは、かなり大きな株も存在した。 <中央歩道> (セイヨウタンポポ=480株、在来種=0株) 西遊歩道に次いで利用者の多いコースであり、丸太を利用した階段になっている。セイヨウタンポポは、この階段の段差下に多く生育している。この場所は、来山者に踏まれにくい場所である。階段の左右両端のお花畑植生との境界部分は、西歩道と同様の生育状況である。遊歩道の距離が短いわりに、総数は多く見られた。 |
<東歩道> (セイヨウタンポポ=134株、在来種=0株) 3コースの中では、下山専用コースとして案内されてきたが、利用者が最も少ない。歩道は、伊吹山の特徴的な地質と地形を残し、粘土質の土で滑りやすく、石灰岩が露出し、狭い歩道に草が覆う箇所もあり、歩きにくいコースとなっている。距離は最も長いが、これらの条件でセイヨウタンポポの数は、他の2コースより際立って少ない。 <3コースの総合評価> 全てのコースで在来種は1株も観察されなかった。調査の見落としもあろうが、それにしてもあまりにも少ない数である。予想通り、セイヨウタンポポは来山者が頻繁に行き交う西・中央に多いが、東歩道は少ない。東歩道は、人の運搬による種子散乱の度合が少なく、また、地質の違い(石灰岩の露出・粘土質)、道幅が狭く草も繁茂しやすことで、これらパイオニア植物の侵入を防いでいるものと考えられる。(※ただし、ヒメジョオンの侵入があちこちの草原群落内に見られる。これらの調査も実施する必要がある。) |
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■山頂遊歩道概要図(セイヨウタンポポ生育株数)
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| 2.伊吹山タンポポ調査(山頂山小屋周辺) | |||
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| 山頂南側の深く切れ込んだ崖斜面に面した3区域である。3区域合計でセイヨウタンポポ数は、07年1,274株、08年1,265株が今回1,996株と1.6倍に増加した。中でも、第1区域南側(対山館・宮崎屋裏側)の増加が目立つ。 在来タンポポの総計は、07年86株、08年35株が、今回98株と3.4倍化している。これは、今回初めて調査した第2区域えびす屋東のお花畑内の通路沿いとロープの外側一帯で最も多く確認した このことで、第 |
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■山頂山小屋周辺概要図(セイヨウタンポポ株数&在来種タンポポ株数)
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| 山頂トイレ付近は、山頂の中でもっとも来山者の出入りの頻繁な区域。セイヨウタンポポ数は07年630株、08年640株から今回2,671株と4.2倍も激増している。また在来タンポポは、今回もひと株も確認できなかった。踏み込みの多い場所だが、登山者の出入りが皆無に近いトイレの裏側にも多く生育している。ここには、石灰岩の砕石が敷設されている。 |
| 松仙館西入り口付近。セイヨウタンポポ数は07年370株、08年522株、今回601株と微増している。在来タンポポは、07年30株、08年28株、今回21株と緩やかに減少している。この区域は在来タンポポが皆無な第4区域に隣接しているが、在来種が一定数生育している。 |
| 日本武尊像北斜面。セイヨウタンポポは07年547株、08年727株、今回1,090株と増えている。在来タンポポは、07年33株、08年3株、今回9株と微増したものの、07年のレベルにはとても回復していない。この区域は、今年、植生保護のため、北側の緩斜面にロープを張り立ち入り禁止区域となった(通路をはさんで2箇所)。今回ロープ際からの確認では、東側がセイヨウタンポポ118株、在来種5株。西側がセイヨウタンポポ79株、在来種2株であった。調査した6月上旬現在、他の植物の草丈が伸びてきており、その間からセイヨウタンポポが隠れ気味に確認できる状態であった。今後の動向に注目したい区域である。 セイヨウタンポポの数が多かったのは、来山者の通路となっている草地部分であった。セイヨウタンポポ893株、在来種2株。つまりこの区域のセイヨウタンポポのうち81%がこの草地に集中している。ここは丈の短い草に覆われており、多くの来山者が直接草地面に座ったり、シートを敷いて寝転がるなど、くつろぎのスペースとなっている。 |
| 北弥勒堂の周囲のセイヨウタンポポの総数は07年639株、08年455株、今回411株と、わずかだが減少していた。 ただ、在来タンポポも07年81株、08年95株、今回52株と減少している。 |
| <総合評価> |
| (株数の結果) 調査した山頂山小屋周辺を総合すると、セイヨウタンポポ総数は、07年3,430株、08年3,611株、2010年今回6,769株で1.8倍増加している。また、小さな株が多い印象もある。在来タンポポ(在来種被度%)は07年230株(6.3%)、08年159株(4.2%)、今回180株(2.6%)で、一昨年よりわずか増えたが、それは第 |
| (過去2度の除去作業の結果) 06年と08年(6/3)、セイヨウタンポポの除去作業が実施された。結果、08年除去前(5/25)の株数はほぼ横ばいであったが、今回の結果は1.8倍に増加。08年の除去作業がどのような手法で行われたか分からないが、小さい株の増加を見ると、理由の1つとして根の掘り起こし作業後の発芽・再生、および土壌の攪乱による新たな発芽等が考えられる。今後、このような作業には、科学的な裏付けのもと持続性可能で、順応的な手法にのっとて行われるのが望ましい。 |
| (交雑種について) セイヨウタンポポと在来タンポポ、在来のセイタカタンポポとイブキタンポポの交雑の危険がある。今回の調査でも、交雑種ではないかと疑いたくなる個体を確認しているが、詳しい調査はしていない。染色体の分析など、より専門的な調査が必要かもしれない。 |