伊吹山で起こった超一級の絶滅危惧種の悲劇
1. 2008.09に実施された「フランスギク除去作業」を憂う
2. 2009.05、引き続き起こった絶滅危惧種(IA類-CR)の壊滅的な悲劇
3. 伊吹山DW山頂近く、猛禽観察者による自然劣化の悲劇
4. 2009.09チチブリンドウは、わずか3株で絶滅。それでも保護されず・・
5. 伊吹山で保全・保護活動を提唱する団体リーダーの愚かさと過ち

 ◎平成20年9月、「フランスギク除去作業」を行った伊吹山の某自然愛好団体(IM)は、2008.10月13日「伊吹山自然再生協議会」事務局(滋賀県自然環境保全課)から、厳重な注意を受けました。
 しかし、某団体ホームページのブログでは、その後においても、除去作業を実施したことを堂々と公表していて、その内容に反省の色はまったく感じられません。


<伊吹山自然再生協議会の方針>

 伊吹山は、近年、山頂及びその周辺部のお花畑において、採草等が行われなくなったことによる植生遷移の進行や、利用者の踏みつけによる被害、外来植物の侵入等により貴重な植生の劣化や自然景観への影響が生じている。

 このことから、平成20年度、環境省は伊吹山の自然再生施設の追加を内容とする公園計画の変更(一部変更)を行い、自然再生事業について、伊吹山に関わる保全活動団体、学識経験者、地域住民、関係企業、関係行政機関等で構成する「伊吹山自然再生協議会」を設置した。

 そして、今後は本協議会が作成する伊吹山再生全体構想に基づき、滋賀県と米原市が事業主体主となって自然再生事業を実施する。

 具体的には、
1. 利用者の踏みつけ等による被害対策として立入禁止看板や進入防止柵等の設置、
2. 植生遷移対策としてアカソ、ススキ等のように適正な規模以上に拡大した植物の刈り取り、
3. 外来植物対策としてセイヨウタンポポ、ヒメジョオン等の除草等を検討している。
 これらにより劣化しつつある伊吹山の生態系の保全・再生を図ることとなった。
 ※参考: 滋賀県情報「伊吹山自然再生協議会」

<7月中旬のフランスギク除去作業>
 平成20年7月9日の第二回協議会では、外来植物・植生遷移の取り組みについて、大筋以下のことがあげられた。
★平成20年度は動植物調査とモニタリングを重視し、全山の植物の刈り取り、外来植物の除去作業等は控える。
★外来植物の除去や植生遷移対策に関し専門知識を有する者から技術的な助言・指導を受けるものとする。
 しかし、その矢先の7月12日、フランスギク繁茂する山頂付近において開花時の株が抜き取られ、路上に放置されていた。なお、放置された花は既に結実していた為、風や人、動物等により種子は運ばれ、拡がったと思われる。
 ※H20.7/9の会議で、伊吹山ネイチャーネットワークは、伊吹山のセイヨウタンポポ調査データと現状写真を提出した。
 ※参照(pdf)=伊吹山のタンポポ分布調査報告書(2008(H20) 年7 月)4ページ
 また、この中には「外来植物侵入による深刻な事態」として、伊吹山ドライブウェイに侵入するハルサキヤマガラシ、フランスギクの写真を掲載し解説していた(4ページ)。

<9月下旬 フランスギク除去作業による絶滅危惧種”チチブリンドウ”の受難>

 H20年9月10日の第三回伊吹山自然再生協議会が開催され、7月9日の内容を再確認する意味で協議された。
この中で、
本年度においては、全山の外来植物等の除去は行わないことが再確認され、参加会員が了承した。
 伊吹山ネイチャーネットワークは、この会議で「伊吹山の自然環境の現状<写真記録>を提出し、この中に7月に除去され、放置されたフランスギクが結実している写真を掲載していた。
 ※参照資料=伊吹山の自然環境の現状<写真記録>2008(H20)年9月

 しかし、今回も協議会終了後の9月20日過ぎ、7月と同場所のフランスギクが大量に除去されていた。今度は開花株でなく、芽生えの幼葉である。引き抜かれたのは、芽生えばかりでなくチチブリンドウ(絶滅危惧種)が生育している周辺のコケ類も含まれた為、その植生環境は一変していた。
 ここで次の3つの問題があげられる。
1. いつ、誰が除去したのか。
2. 除去した者は、今年度は除去してはいけないという伊吹山自然再生協議会の方針を知っていたか?
3. 除去区域は、絶滅危惧種の中でも重要なチチブリンドウ、ホソバノツルリンドウ、イブキコゴメグサ(IA〜IB類)が生育している。
 この場合、その除去にあっては科学的な裏付け、または専門知識を有する者から技術的な助言・指導を受けたか?
【チチブリンドウ】
・絶滅危惧IA類(CR) ごく近い将来に絶滅する危険性が極めて高い種
・科名 リンドウ科 ・属名 シロウマリンドウ属
・生育 石灰岩地の湿った林床などに生える1年草または越年草.
・茎は直立し、ほとんど分枝せず,高さ8〜15cm.
・その生態は,未だに不明な点が多い.
【解説】
【大場達之・上野達也:チチブリンドウの分布】
 チチブリンドウはヒマラヤから中国(チベット,雲南,貴州,四川,青海,遼寧)に分布し,日本では1952年に秩父山地で発見された.その後,長野県伊那の戸台川白岩(豊国・聡美1957),群馬県多野山地(吉井0989),埼玉県両神山系(岩田豊太郎-埼玉新聞1998.1.13版),長野県釜無山地(今井1998)など本州中部の山地から採集されている.上野は1996年に本種を滋賀県伊吹山で発見した.これは本種としては日本における最も西の産地となる.伊吹山では海抜1200mの急峻な崖の岩棚に生え,ワカサハマギク,イブキコゴメグサ(絶滅危惧種IB類),などと混生しているほか,岩場上端のススキ群落の中やその周辺にも生える,またホソバノツルリンドウ(絶滅危惧種IB類)が混生しているのを1997年に確認したが,これも伊吹山および滋賀県の新産と考えられる.これらの産地は,すべて石灰岩地であり,海抜1000〜1700m内外のブナ帯に位置している,またホソバノツルリンドウが混生する場合が多い.

伊吹山でのチチブリンドウは、左写真のように
フランスギク(芽生え)が周囲にびっしり生えていたが、
それなりの生育環境は保たれている。→

伊吹山のチチブリンドウ(写真)▼

2008.09.07

2008.09.14

2008.09.14

<フランスギク除去と絶滅危惧種の現況写真>

▲この場合は、緑を残していたが、すでに踏まれた後だ。

 ▲フランスギクの除去後、周囲のコケ類も同時に除去され、
裸地になったところにあったが、根元は切られた状態だった。 
 ※このような貴重な場所は、即外来種除去の方法をとるのでなく、まず立入規制を行い、十分なモニタリング調査による科学的なデータのもと、除去するしないに関わらず、どのような形で生育環境を維持していくかを審査する必要があろう。これを怠り、安易に即除去という形をとったことは、慎むべきであった。

<フランスギク除去作業で判明したこと>
<伊吹山自然再生協議会の構成委員が実施>
1. 7月と9月の除去作業を実施した者は本協議会の構成メンバー「M会」であることが明確になった。
2. 当団体は、今年度の方針や自然再生に対する理解が薄く、軽率な行為だったとしか思えない。
3. また、除去にあっては、科学的な裏付けや専門知識を有する者の助言や指導もなく行った。
 このことで、除去区域の植生環境が大きく変化し、同場所で生育していた絶滅危惧種の生育が危ぶまれる。

フランスギク除去方法の疑問
 1. 7月の開花株除去=開花株を路上に放置していたが、フランスギクはここから結実する特徴があることを知らないでいる。
 2. 9月の芽生え除去=
同じ場所に生えるチチブリンドウ・ホソバノツルリンドウの開花・結実にあたる時期、なぜ行ったか。また、除去跡からは、危惧種が踏まれ折れたり、刈られたり、結実することのない残骸があちこちに見られた。これは、あまりにも軽率で杜撰な考えと行動と言える。
 3. 9月の芽生え除去=
絶滅危惧種の科学的データの確証は得られているか。特にそのうちの一種のチチブリンドウ(IA類)は、未だ不明なところが多く、解明されていない植物である。
 4. 9月の芽生え除去=コケ類を同時に大量に除去している為、土がむき出しになっている。除去することによっての影響はないか?
 5. 9月の芽生え除去=除去したフランスギクのロゼットとコケ類をガードレール下に放置した。
 コケ類を同時に放置したことで、フランスギクの芽生えが生きていることを知らないでいるのか、そのまま放置している。


伊吹山で保全・保護活動を提唱する団体リーダーの愚行と罪
 6. 2008.10月13日「伊吹山自然再生協議会」事務局(滋賀県自然環境保全課)から、「フランスギク除去作業を無断で行ったことで、M会の代表者は、厳重な注意を受ける。
 7. 実施したM会のHPのブログに、除去作業を「伊吹山自然再生協議会の枠組みのなかでボランティアグループとして果たせる役割」として実施していると書かれている。インターネット上の、このような書き込みは、伊吹山自然再生協議会の方針について、不特定多数の人に大きな誤解を与えるのではないか。消去すべきであるが、いまだ消去されていない。
 8. ブログには、フランスギク以外の在来種(コウゾリナ)を外来種として除去したとも書かれ、これを見た人からの指摘で「単純なミス」と悪びれず答えているのも、はなはだ問題だ。
 9. さらにこの除去方法を指導したM会の理事で、植物のトップリーダーと称するF氏は、「フランスギク侵入経路は、イヌワシの撮影者が持ち込んだもの。火のないところに煙は立たず。」と、調査も行わず、非科学的でしかも理解しがたい憶測を堂々と明言している。
 ※H20年、Fのこの稚拙な論理のもと、幹部数名による謀で、自分の意に反する3名の会員を除名処分、1名に罪なき処分を言い渡し、過去にない醜悪な形で会は分裂した。
10.  <平成21年2月16日「伊吹山自然再生協議会」>
 会議の中で、このフランスギク除去作業が問題となった。しかし、出席していた
M会のF氏は、作業を行ったことにつき
「フランスギクの除去はこれら絶滅危惧種の保全のためにやっている。フランスギクを除去しないと日照条件が悪化し、絶滅危惧種がなくなってしまう。」

とまたもや憶測で、科学的データに基づかない話をしている。

 これに対しM会長から「チチブリンドウの生育条件がまだ不明なので、現状を壊さない方がよい。」と注意を受けたが、それでもFは、事の重大さを理解できないでいた。
11. <平成21年11月「伊吹山自然再生会議」>
 平成21年10月、伊吹山ネイチャーネットワークのホソバノツルリンドウ&チチブリンドウ生育株数調査によって、フランスギク除去跡とDW沿道の草刈り跡が壊滅状態になったことが判明した。翌月(11/19)に「伊吹山自然再生会議」が開催され、この調査報告書が提出された。終盤、「ドライブウェイ沿道重要種の保全について」でこのことが取りあげられ、壊滅状態となった現状を誰もが知り、その保全の対応策が討議された。
 しかし、この中で出席していたM会のF氏は、意外な質問をした。
「貴重種を移植することは検討できないか?」

 自らリーダーとなって除去作業を指導したことで、これら重要種が壊滅したことへの責任感は全くない。しかも、なんと稚拙な愚問だろう。このような者がリーダーとなり、保全・保護活動を提唱し、いつもお祭り騒ぎで(イベントのように)活動している「M会」に大きな疑問を感じざるを得ない。


(※滋賀県HP「伊吹山自然再生協議会」「第4回伊自再協会議事要旨」に記載されている。)